【工数75%削減】社長の手をあけるバックオフィス効率化事例

公開日 2026/09/24 更新日 2026/09/28

請求書の発行も、月末の振込も、結局は社長様の手元に残っていないでしょうか。

株式会社SYUUSAI様では、その締め作業に月16時間がかかっていました。いまは日常の運用が1日10分、最後の承認が30分です。

本記事では、実際に使った工程表と3つの判断ルールをそのまま掲載しています。新しいツールは導入していません。

プロジェクト概要

項目内容
企業名株式会社SYUUSAI
会社概要Webマーケティング事業
ご担当者様代表取締役 西川様
ご支援サービス業務効率化コンサルティング
ご支援内容業務整理
仕組み化提案
営業管理の導入
採用業務の効率化

【課題】

手離れしていない業務の過多

  • 請求と支払いを社長様が一人で対応し、月に約16時間が消えていた
  • 各種数値が月を締めたあとにしか分からず、事業計画との差がリアルタイムで見えない

【支援内容】

  • 現状(As Is)の洗い出しと、業務フロー(To Be)の設計
  • 締め日から逆算した工程表と、判断ルールの明文化
  • 管理部担当者の採用支援と、最初の2〜3か月の伴走
  • 税理士事務所との窓口対応
  • 営業管理(SFA)のルール設計

【成果】

  • 請求業務が、日常1日10分と承認30分に
  • 受注時点で、案件ごとの利益が分かる状態に
  • 規模と確度による売上予測が可能に

まず、自社が同じ状態かどうか

次の5つのうち、2つ以上が当てはまる場合は、この記事の内容がそのまま使えます。

  • 請求書の発行や振込が、いまだに社長様の手を離れていない
  • 案件ごとの利益が、月を締めたあとにしか分からない
  • 来月の売上は言えるが、3か月後は言えない
  • 「この作業はあの人しかできない」という業務が思い浮かぶ
  • 人を採りたいが、何をどこまで任せるか決めきれていない

いずれも、忙しさが原因ではありません。誰がどこまでやるかが決まっていないため、最後は社長様が引き取ることになります。

請求も振込も社長が対応。月16時間が消えていた状態

島村 最初にお伺いしたとき、請求も振込も、西川様がすべてご自身で対応されていましたね。

西川 自分がやるしかないと思っていました。金額の確認も口座番号の入力も、間違えたら取り返しがつきません。請求書の送付も、すべて自分で行なっていました。

人に渡すという発想が、そもそもなかったんです。請求書を開いて口座番号を一件ずつ入力する。そういった業務だけで、月末月初は通常業務に手が回らなくなるほどでした。

島村 拝見していて引っかかったのは、数字が決まる時期と、それを扱う時期がずれている点でした。

SYUUSAI様は受託事業で、メンバーは全員が業務委託です。案件が発生した時点で、売上も、誰にいくら支払うかも決まります。つまり利益は、受注した瞬間に計算できるはずでした。

西川 実際は、月末に口座残高の差分でしか、正確な利益を計ることができていませんでした。

当初はフリーランスから法人化した背景もあり、個人事業主時代になんとなくで決めていたマイルールを、法人化した後も続けていたんです。そこから案件量と業務委託メンバーが増えて、そのまま工数が積み上がっていました。

島村 事業の立ち上がりが早い会社ほど、よく起きることだと思います。

そこでまずは、現状の業務の棚卸しと、無駄の排除・人に任せられる領域の理解から進めました。

最初の一手は、ツール導入ではなく現状の洗い出し

島村 最初に整理したのは、現状(As Is)です。洗い出したのは、次の3点でした。

  • いつ、どのような数値が、どういう状況で決まるのか
  • その情報が、いつ手に入るのか
  • それぞれの業務を、どこで行っているのか

請求書はマネーフォワード、振込はGMOあおぞらネット銀行、台帳はスプレッドシートと、道具そのものは揃っていました。

決まっていなかったのは、どの道具がどこまでを担うのかという範囲です。そのため、新しいツールの導入はご提案していません。

西川 棚卸しの段階で、新しいシステムを入れましょうという話にはなりませんでしたね。そこは意外でした。

バックオフィス効率化の支援前(AS IS)と支援後(TO BE)の業務フロー図

島村 そのうえで、いまの業務と目指す業務を図にしました。上の図の上段が支援前、下段が支援後です。

細かい文字は読めなくてかまいません。ご覧いただきたいのは、分岐の数と、判断が発生している場所です。支援前は確認と差し戻しがあちこちで起きています。支援後は、判断する場所と人に任せられる領域が見えるようになりました。

締め日から逆算した工程表と、3つの判断ルール

島村 次に、月末の締めから逆算して工程表をつくりました。
   下記は一例です。

時期誰が何をするか
月末秘書・事務担当業務委託先へ、請求書の提出ルールを案内
翌月2日秘書・事務担当提出期限をリマインド
翌月3日秘書・事務担当管理シートと請求書を突き合わせ、差異を報告
翌月4〜6日社長請求内容を確認し、必要な修正を指示
翌月7日社長請求書がすべて揃った状態にする
翌月8日秘書・事務担当税理士事務所の共有フォルダへ書類を渡す
翌月20日まで秘書・事務担当振込の承認依頼を出す
月末営業日社長内容を確認し、承認する

島村 ただし、工程を並べるだけでは回りません。担当者が迷った瞬間に、社長様へ確認が飛びます。

そこで、迷いやすい場面のルールも決めました。決めたのは次の3つです。

  • 管理シートを正とする。請求書と金額が違うときは、シート側を基準に確認する
  • 差異は決まった形式で報告する。「請求書が未提出」「シートに記載がない」「金額が違う」の3分類で、対象者名と両方の金額を並べる
  • インボイス未登録の方の請求は、内税処理かどうかを必ず確認する

報告の形式まで決めた結果、社長様がご覧になるのは差異が出たときだけになりました。

西川 「どうしましょうか」と聞かれる回数が、はっきり減りましたね。基準が決まっていれば、担当者が自分で処理を進められます。

この工程表と3つの判断ルールは、締め日を自社のものに差し替えれば、そのまま使える形にしてあります。自社で試してみて、どこで詰まるかを見てから相談するかどうかを決めていただいて問題ありません。

振込業務の分割。渡したものと、社長に残したもの

島村 一番ご負担の大きかった振込は、業務を2つに割りました。

担当やること
秘書・事務担当請求書の金額を確認し、GMOあおぞらネット銀行で振込の承認依頼を出す
社長内容をダブルチェックし、承認を押す

外部やご担当者に渡したもの、社長様の手元に残したものは、次のように線を引いています。

内容
渡したもの請求書の回収と督促、金額の突き合わせ、差異の報告、書類の受け渡し、振込データの作成
社長様に残したもの差異が出たときの判断、請求内容の最終確認、振込の最終承認

お金が動く業務です。最後は必ず人が確認する形を残しました。自動で振り込む仕組みには、あえてしていません。

削るのは作業であって、確認ではないという考え方です。

西川 いまは、上がってきた内容を見て承認を押すだけです。口座番号を自分で打つことはなくなりました。

島村 あわせて、売上が発生した時点で原価を管理する形にしました。受注した時点で売上も支払額も決まるのであれば、利益は最初から分かるはずだからです。

税理士事務所との打ち合わせも、弊社が引き取りました。先方が必要とされる書類とルールを確認し、提出フォーマットまで揃えています。ここを詰めておかないと、月次のやりとりで差し戻しが起きます。

採用の仕組み化支援と、支援が終わったあと

島村 工程表をつくっても、実行される方がいなければ社長様の手元に戻ります。そこで、管理部のご担当者を業務委託で採用するところから対応しました。

社長様の時間が空いた理由には、この人員の追加も含まれます。仕組みだけで生まれた時間ではありません。

ただし、人を採れば解決するわけでもありません。任せる範囲と判断の基準が決まっていない状態で人を入れると、確認のやりとりが増えて社長様の時間はむしろ減りません。工程表とルールを先につくったのは、そのためです。

また、AI開発などで全自動化することも検討できますが、現状のお客様との関係性や、初期コストを加味して人員増加による対応となりました。

西川 採用まで見てもらえたのは大きかったです。手順を決めても、やる人がいなければ自分に戻ってきますから。

島村 最初の2〜3か月分の処理は、弊社が主導しながらご担当者に進めていただきました。手順書をお渡しして終わりにせず、実際の締め作業を一緒に回しています。

この期間、弊社はSYUUSAI様の社内PMとして入りました。外から助言する立場ではなく、社内の業務が回るところまでを担当する立場です。

西川 最初の数か月を一緒に回してもらえたので、安心して任せられました。いまは担当者が主体で進めています。

島村 結果として、業務が特定の個人に依存しない形になりました。工程表とルールがあり、実行した経験のあるご担当者がいる。この2つが揃って、はじめて社長様の手を離れます。

規模と確度のラベル付けで、3か月先の売上予測

島村 バックオフィスと並行して、営業管理にも手を入れました。

西川 それまでは、依頼されたプロジェクトをひたすら受けていく形でした。今月の売上は分かっても、来月何が足りないのかは見えていませんでした。

島村 まずは、現状のプロジェクトの棚卸しからです。案件ごとのボリュームを同じ基準で見られるようにしたうえで、簡単な形ですが営業管理のルールを入れました。

分類区分使い方
プロジェクトの規模大・中・小案件ごとの売上インパクトを、同じ基準で見る
受注確度A・B・C確度ごとに重みを付け、売上見込みを積み上げる

あわせて、引き合いから受注または失注までの段階を定義しました。記録するのは、チャネル・クライアント名・品目・金額・提案日・クローズ日です。

受注した案件は、そのまま請求管理の台帳へ引き渡されます。営業の記録と請求の台帳がつながるため、請求漏れが起きません。

西川 数字の見通しが立つと、判断が早くなります。どの規模の案件が、いつまでに何件必要かを言えるようになりました。

必要な打ち手を選べるようになった点が、一番ありがたかったところです。タスクの対応漏れも、かなり減りました。

成果は、月16時間から1日10分+承認30分へ

西川 いまは、日常の運用が1日10分程度、最後の承認が30分程度です。以前は月に16時間ほどかかっていました。

数字以上に変わったのは、見る対象です。すべての請求書ではなく、差異が出たものと最後の承認だけを見ます。空いた時間で、どの案件を取りに行くかを考えられるようになりました。

島村 同じ状態の経営者の方に、いま何かお伝えになるとしたら。

西川 意外だったのは、新しいツールを入れましょうという話にならなかったことです。

まず、いつ何が決まるのかを一緒に書き出す。そこから、誰がどこまでやるかを決めていく。この順番だったので、現場が混乱しませんでした。

自分でやったほうが早いと思っているうちは、手放せません。決めごとをつくる時間を取れるかどうかだと思います。

今後の展望:SaaSとSaaSの間に残る作業の自動化

島村 今回は、決めごとと工程表で業務を整理しました。ただ、人が手を動かしている部分はまだ残っています。

会計SaaSもネットバンクも、それぞれのサービスの中は完結しています。一方で、請求書が期日までに届いたか、金額が台帳と合っているか、税理士事務所に渡したかといった工程は、どのSaaSの担当範囲でもありません。ここが人の作業として残ります。

freeeやマネーフォワードのような会計SaaSを入れても、この「間」は埋まりません。今回の工程表と判断ルールは、まさにその部分を人の手順で埋めたものです。

西川 突き合わせやリマインドは、たしかに毎月同じことをしています。

島村 その同じことの繰り返しは、仕組みに寄せられる部分です。提出状況の確認、台帳との突き合わせ、差異の検知、期日前のリマインド。このあたりを順に自動化していく構想です。

ただし、線引きは変えません。自動化するのは作業であって、承認ではないという考え方です。振込の最終承認は、これからも社長様の手元に残します。

西川 そこは変えないでほしいところです。お金が出ていく瞬間だけは、自分の目で見ておきたいので。

まとめ:バックオフィス効率化に必要なのはツールより決めごと

本件で効いたのは、次の4つでした。

  1. いつ数値が決まるのかを整理する
  2. 締め日から逆算して工程を並べる
  3. 任せる範囲と判断の基準を決めてから、実行する人を採用する
  4. その方が判断できるところまで一緒に回す

使用したシステムは、もともとSYUUSAI様がお持ちのものです。決めごとを固めれば、いまの道具のままでも社長様の手は空きます。

記事の工程表と判断ルールは、そのままお使いいただけます。まずは自社で試していただいて問題ありません。

そのうえで、どこから手放せるかが決めきれない場合は、現状の整理だけを30分ほどでご一緒します。何がいつ決まり、どこで作業しているかを書き出すところまでで、いったん区切ります。

お問い合わせより、「バックオフィスの現状整理」とお伝えください。

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