生成AIで業務効率化する方法|使える作業と部門別の使い方、社内ルールと注意点

公開日 2026/10/15 更新日 2026/10/18
生成AIで業務効率化する方法|使える作業と部門別の使い方、社内ルールと注意点

生成AIは、文章の下書き、要約、議事録の整理、表の整形など、人が時間をかけていた作業の一部を短い時間で手伝ってくれる道具です。ChatGPTのような対話型のサービスのほか、普段使っている業務ツールに組み込まれたAI機能もあり、中小企業でも使い始めやすくなっています。

結論から言うと、生成AIで業務効率化を進めるときは、「どの業務の、どの作業に使うか」を先に決め、出てきた内容を人が確認する前提で手順を組むことが大切です。生成AIはもっともらしい誤りを出すことがあり、判断や最終確認まで任せると、手戻りやトラブルで時間がかえって増えることがあるからです。

この記事では、生成AIで効率化しやすい作業としにくい作業、部門別の使い方とプロンプトの例、導入の進め方、社内ルールで決めること、注意点、効果の測り方を順に説明します。

生成AIで業務効率化を進めるときの考え方

生成AIは、ゼロから考える時間や、決まった形に整える時間を短くするのが得意です。一方で、事実の正しさを保証したり、会社としての判断を下したりはできません。この性質を前提に、人とAIの役割を分けて考えます。

おすすめの分け方は、AIに「たたき台を作る」「整える」「候補を出す」を任せ、人が「何を作るか決める」「中身を確かめる」「最後に判断する」を担う形です。たとえば議事録なら、AIが要点と決定事項を整理し、出席者が抜けや誤りを直してから共有します。

また、生成AIは業務効率化の手法の1つです。誰も読んでいない資料をAIで速く作っても、本来はやめてよい作業が残るだけです。業務そのものの見直しから考えたい場合は、業務効率化の手法一覧もあわせてご覧ください。

生成AIで効率化しやすい作業・しにくい作業

生成AIが向いているのは、正解が1つに決まらず、人が見て良し悪しを判断できる作業です。反対に、誤りが許されない判断や、外に出せない情報を扱う作業は、人が担うか、使い方に条件をつけます。

区分 作業 使い方のポイント
しやすい 下調べ・論点の洗い出し 調べる観点の整理に使い、事実は元の情報源で確かめる
しやすい 長い文章の要約 要約の元になる文章を貼り付けて使う。元にない情報が足されていないかを見る
しやすい メール・資料・記事の下書き 目的、読み手、入れる情報を指示し、最後は人が直す
しやすい 議事録の整理 決定事項、担当者、期限に分けて出させる
しやすい 表の整形・データの分類 書式の統一や分類の案を作らせ、件数や合計を確かめる
しやすい 問い合わせの一次回答案 社内の回答ルールを渡したうえで案を作らせ、送信は人が行う
しやすい 関数やコードの作成補助 テスト用のデータで動きを確かめてから本番に使う
しにくい 採否・金額・契約などの判断 AIの出力は判断材料の1つにとどめ、決めるのは人
しにくい 最終確認・承認 公開や送信の前の確認は人が行う
しにくい 機密情報・個人情報の扱い 社内ルールで入力してよい範囲を決め、範囲外は使わない
しにくい 最新の数字や法令の確認 公式の情報源を人が開いて確かめる

表計算の関数やマクロを作る作業は、生成AIとの相性がよい分野です。エクセル業務の自動化の進め方は、エクセル自動化の方法と選び方で詳しく紹介しています。

部門別の生成AIの使い方とプロンプト例

ここでは、部門ごとに使いやすい場面を挙げ、プロンプト(AIへの指示文)の例を1つずつ紹介します。プロンプトは、目的、読み手、使う材料、出してほしい形を書くと、意図に近い結果が出やすくなります。

営業

営業では、商談前の準備と、商談後の記録に使いやすい場面があります。

  • 公開されている会社情報をもとに、商談で確認したい質問の候補を出す
  • 商談メモから、次回までの宿題と提案の論点を整理する
  • お礼メールや提案メールの下書きを作る

次の商談メモをもとに、お客様へのお礼メールを300字程度で書いてください。決まったことと、次回までにこちらが用意するものを箇条書きで入れてください。

営業の業務全体を見直したい場合は、営業の効率化もあわせてご覧ください。

マーケティング

マーケティングでは、企画の幅を広げる作業と、文章の形を整える作業に使えます。

  • 記事やセミナーの企画案を、読者の悩みごとに出す
  • 長い記事から、SNS投稿用の短い文章を複数案作る
  • アンケートの自由回答を、内容ごとに分類する

次のアンケートの自由回答を、内容が近いものごとに5つ程度のグループに分け、グループ名と件数を表にしてください。どのグループにも入らない回答は「その他」にしてください。

分類の件数は、元のデータと合っているかを人が確かめます。

採用

採用では、文章を作る作業と、面接の準備に使えます。応募者の個人情報の扱いは、後述する社内ルールに沿って判断します。

  • 求人票の下書きや、表現の見直しを行う
  • 職種ごとに、面接で確認したい質問の候補を出す
  • 説明会の案内文や、面接日程の連絡文のひな形を作る

営業事務の求人票の下書きを作ってください。仕事内容、1日の流れ、求める経験の3つに分け、専門用語を使わずに書いてください。給与と勤務条件は空欄のままにしてください。

給与や条件などの数字は、AIに作らせずに人が記入します。

経理・総務

経理・総務では、文章の整理や、表計算の作業の補助に使えます。

  • 社内規程や手続きの案内文を、わかりやすい言葉に書き直す
  • 表計算の関数や、データを整える手順を考えてもらう
  • 社内からよく来る質問をもとに、FAQの下書きを作る

表計算ソフトで、A列の取引先名ごとにC列の金額を合計する関数を教えてください。取引先名には全角と半角のスペースが混ざっている前提でお願いします。

取引先名や金額などの実データは入力せず、列の構成だけを伝える形にすると、情報の扱いを気にせず使えます。

カスタマー対応

カスタマー対応では、回答の案づくりと、問い合わせの傾向をつかむ作業に使えます。

  • 問い合わせへの回答の下書きを、社内の回答ルールに沿って作る
  • 問い合わせを種類ごとに分類し、多い質問を見つける
  • よくある質問のページに載せる回答案を作る

次の社内の回答ルールに沿って、問い合わせへの返信の下書きを作ってください。ルールに書かれていないことには答えず、「担当者に確認します」と書いてください。

お客様に送る前に、担当者が内容と言葉づかいを確かめます。

生成AIを業務に導入する進め方

生成AIの導入は、全社で一斉に始めるより、小さな業務で試してから広げるほうが、使い方とルールを固めやすくなります。ここでは5つの手順に分けて説明します。

1. 小さな業務で試す

最初は、1つのチームの1つの作業から始めます。週に何度も発生し、間違えても社内で直せる作業が向いています。議事録の整理や、社内向けの文章の下書きなどです。

試す前に、その作業の今の所要時間を記録しておきます。あとで効果を比べるときの基準になります。

2. 手順書とプロンプトを共有する

うまくいったプロンプトは、手順書と一緒にチームで共有します。「どの作業で」「何を貼り付けて」「どう指示し」「何を確認するか」を1枚にまとめると、ほかの人も同じ結果を出しやすくなります。

プロンプトを個人のメモに置いたままにすると、使い方が人によって分かれ、担当者が替わったときに引き継げません。

3. 社内ルールを決める

試す中で出てきた疑問をもとに、入力してよい情報、出力の確認方法、記録の残し方などのルールを決めます。決める項目は次の章で詳しく説明します。

ルールは、最初から細かく作り込むより、試しながら足していくほうが現場に合ったものになります。

4. 効果を測る

試した期間の作業時間、確認や手直しにかかった時間、ミスの件数を記録し、始める前と比べます。AIで下書きが速くなっても、確認に時間がかかっていれば、合計の時間は思ったほど減っていないことがあります。

5. 広げる

効果が確かめられた作業から、ほかのチームや似た作業に広げます。広げるときは、手順書とプロンプト、ルールをセットで渡します。

使い方が固まった作業は、自動化ツールと組み合わせて、毎回の手作業を減らせる場合があります。手順が決まっていない作業を先に自動化すると、直す手間が増えやすいので、順番に気をつけます。

社内ルールで決めておくこと

生成AIを複数の人が使うようになったら、使い方のルールを文書にしておきます。ここでは、最低限決めておきたい4つの項目を紹介します。

入力してよい情報・いけない情報

最初に決めたいのが、AIに入力してよい情報の範囲です。たとえば「公開済みの情報や一般的な質問は可」「取引先の機密、未公開の数字、個人情報は不可、または会社が許可したサービスに限る」のように、例を挙げて決めると迷いにくくなります。

個人情報については、個人情報保護委員会が2023年6月2日(令和5年6月2日)に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表しています。その中で、個人情報取扱事業者が個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認すること、個人データを含むプロンプトを入力する場合は、サービスの提供事業者がそのデータを機械学習に利用しないことなどを十分に確認することが挙げられています。

利用するサービスが入力内容をどう扱うかは、各サービスの規約や設定で異なります。社内で使うサービスを決めるときに、利用規約やデータの扱いの説明を確認しておきます。

出力の確認

AIの出力をそのまま社外に出さないことを、ルールとして明記します。数字、日付、固有名詞、法令に関する記述は、元の情報源で確かめる項目として挙げておくと、確認の漏れを防げます。

確認する人と、確認した記録の残し方(チェック欄、承認者の名前など)も決めておきます。

著作権・商標

文化庁は、「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日、文化審議会著作権分科会法制度小委員会)や、「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)を公表しています。文化庁の概要資料では、AIで生成した画像などを公表したり販売したりする場合も、通常の著作権侵害と同様の基準で判断され、既存の著作物との類似性と依拠性が認められるかが要件になると説明されています。

社内ルールとしては、特定の作品や他社の文章に似せる指示をしないこと、外部に出す文章や画像は既存のものと似すぎていないかを確かめることを決めておくと安心です。AIで作った社名や商品名、ロゴの案を使う前には、他社の商標と重ならないかを調べます。著作権や商標、個人情報に関する法令の判断は、個別の事情によって変わるため、弁護士などの専門家に確認してください。

記録

どの業務で、どのサービスを使い、どのプロンプトで何を作ったかを、必要な範囲で残します。問題が起きたときに原因をたどれるほか、うまくいった使い方をほかの人に共有する材料にもなります。

生成AIを使うときの注意点

生成AIは便利な一方で、使い方を誤ると、時間の削減以上の損失につながることがあります。ここでは、特に気をつけたい3つの点を説明します。

誤った内容をもっともらしく出すことがある

生成AIは、事実と異なる内容を、自然な文章で出すことがあります。存在しない資料名や、古い情報、計算の誤りが混ざることもあります。

対策は、AIに事実を答えさせるより、手元の資料を渡して整理させる使い方を中心にすることです。事実を含む出力は、元の情報源で確かめてから使います。

情報漏えいのおそれがある

入力した内容がサービス側でどう扱われるかを知らないまま、取引先の情報や個人情報を入力すると、情報漏えいにつながるおそれがあります。個人のアカウントで業務の情報を扱うと、会社として利用状況を把握できません。

会社で使うサービスとアカウントを決め、入力してよい情報のルールとあわせて周知します。

使い方が属人化しやすい

AIを使いこなす人が1人だけの状態では、その人が休んだり異動したりすると、作業が止まります。プロンプトや手順がその人の頭の中にしかないためです。

手順書とプロンプトの共有、確認方法の文書化で、誰でも同じ手順で使える状態にしておきます。属人化を解消する考え方は、属人化を解消する手順で詳しく紹介しています。

AI業務効率化ツールの選び方

AIを使った業務効率化のツールは、大きく分けると次の3つの形があります。目的と、扱う情報の種類によって選びます。

形 内容 向いている使い方
対話型の生成AIサービス 画面で指示を入力し、文章などを生成する 下書き、要約、調べものなど、人が都度指示する作業
業務ツールに組み込まれたAI機能 文書作成、表計算、会議、問い合わせ管理などのツールにAI機能が入っている 普段のツールの中で完結する作業
自動化ツールとAIの連携 決まった流れの中で、AIの処理を自動で呼び出す 問い合わせの分類や転記など、毎回同じ手順の作業

選ぶときは、機能の多さよりも、入力した情報の扱い(学習に使われるかどうか、保存期間など)、管理者がアカウントや利用状況を管理できるか、今使っているツールとつなげられるか、を確認します。これらはサービスやプランによって異なるため、各サービスの公式の説明で確かめます。

ツールの間をつなぐ自動化に興味がある場合は、自動化ツールの1つを紹介したn8nとはもご覧ください。

生成AIによる業務効率化の効果の測り方

効果は、作業時間だけでなく、確認の時間とミスも含めて測ります。AIで下書きが速くなっても、確認や手直しが増えれば、合計の時間は減りません。

指標 測り方 例
作業時間 1回の時間 × 1か月の回数 議事録の作成にかかる月の合計時間
確認・手直しの時間 AIの出力を確認し、直すのにかかった時間 下書きの修正にかかった時間
ミス・差し戻し 誤りや差し戻しの件数 送信後に訂正したメールの件数
使われている度合い 手順書どおりにAIを使った回数 チームで共有したプロンプトの利用回数

始める前の1〜2週間、対象の作業にかかった時間をメモしておき、導入後も同じ測り方で比べます。時間が減ってもミスが増えていれば、確認の手順やプロンプトを見直します。

よくある質問

生成AIの業務効率化は何から始めればよいですか?

週に何度も発生し、間違えても社内で直せる作業から始めるのがおすすめです。議事録の整理や、社内向けの文章の下書きなどが候補になります。始める前に、その作業の今の所要時間を記録しておくと、効果を比べられます。

ChatGPTなどに社内の情報を入力しても大丈夫ですか?

入力した情報の扱いは、サービスやプラン、設定によって異なります。利用規約やデータの扱いの説明を確認し、会社として入力してよい情報の範囲を決めてから使います。個人情報については、個人情報保護委員会の注意喚起も参考にし、判断に迷う場合は専門家に相談してください。

AIが作った文章をそのまま社外に出してもよいですか?

誤りや、既存の文章と似すぎている部分がないかを、人が確認してから出すようにします。数字、日付、固有名詞は、元の情報源で確かめる項目として決めておくと確認しやすくなります。

社員によって使い方に差が出てしまいます。どうすればよいですか?

うまくいったプロンプトと手順を共有し、作業ごとに「何を貼り付けて、どう指示し、何を確認するか」を1枚にまとめます。使い方を個人の工夫に任せず、チームの手順にすることで、差が出にくくなります。

まとめ

  • 生成AIの業務効率化は、どの業務のどの作業に使うかを先に決め、人の確認を前提に手順を組む
  • 下書き、要約、議事録、表の整形、一次回答案、関数の作成補助などは効率化しやすく、判断や最終確認、機密情報の扱いは人が担う
  • 導入は、小さな業務で試す、手順書とプロンプトの共有、ルールづくり、効果の測定、展開の順に進める
  • 社内ルールでは、入力してよい情報、出力の確認、著作権・商標、記録の4つを決める
  • 誤った内容をもっともらしく出すこと、情報漏えい、属人化に注意する
  • 効果は、作業時間に加えて、確認の時間とミスの件数もあわせて比べる

当社は、AIを業務の中心に置いて仕事を進めており、その経験をもとに、業務の整理から生成AIの使い方の設計、仕組み化や自動化まで、業務効率化の支援を行っています。支援内容はサービス一覧をご覧いただき、自社の業務について相談したい場合はお問い合わせからご連絡ください。